ナットやボルトを回す工具といえば、初心者の方が最初に思い浮かべる最もポピュラーな工具はスパナとモンキーレンチ(英語ではアジャスタブルレンチ)でしょう。
スパナとレンチ。
人によってこれを混同して呼んでいる場合もあるようですが、
「レンチ」(wrench)は英語(アメリカ)からきていて、レンチをイギリスではスパナといい、日本ではこれらが混じって使われているのかも?
日本では先端(ジョー)が開いている(オープンエンド)ものをスパナ、
メガネレンチのようにクローズしたもの(ボックス)がレンチという呼び名で使うのが一般的のようです。
(レンチという呼び名は元々、ボルト・ナットを回す工具の総称です。)
実はスパナやモンキーレンチは、車のメンテでは使用頻度が低い工具にあたります。
とはいえ、なくてもいけるか?といえば決してそんなことはなく、ないと非常に困ります。
スパナにしろ、モンキーにしろ、あまり出番がない理由としては、
・ボルト・ナットを回す際、意外と早回しが苦手(一回ごと差し込み直す必要がある)
・ボルトの頭に対して平行に差し込む必要がある(エンジンルームなどではそれが不可能な場合も多い)
・剛性、強度の点でメガネレンチなど他のレンチに劣る
などの点が挙げられます。
しかしながら、スパナやモンキーレンチでなければ回せないボルトがあるのも事実。
例えば、パイプやバーの中間部に位置するボルトやナットはジョー(先端のボルトに差し込む部分)が開いたスパナでなければ差し込むことができません。
また、このようなナットはダブルナットになっていること多いため、片方をモンキーなどでで固定しながら、もう片方をスパナで回す、という場面ではモンキーもスパナもなくてはならない工具になります。
バッテリーの端子を回したい場合も、万一ショートした時に直ぐに離すことができるためスパナの方が安心です。
一般的なスパナは、ボルトナットの2面(角)をとらえて回すため、ナメやすいという欠点がありますが、スタビレーのソフトグリップ、スナップオンのフランクドライブといったスパナは、複雑な凹凸の形状によってボルトナットを面でつかまえて(面接触)回すことができるようになっています。