自動車メンテナンス・整備の基本

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自動車のタイヤの点検・チェックの方法


ご存じの通り、タイヤは安全に直結する最重要パーツのひとつです。
自動車には全くの無知であっても、最低限、タイヤの点検方法だけは身につけておきたいもの。
空気圧のチェック、溝の摩耗具合など、定期的な点検は不可欠となります。

タイヤの摩耗状態は、自動車の足回り全体の状態を察知するバロメーターとも言えます。

例えば、
通常、タイヤは均等に摩耗していきますが、左右のタイヤに空気圧が適正なのに偏摩耗が見られる場合、アライメントが狂っている可能性があります。
ただし、ハンドルの切れ角やキャスター角が大きいクルマは、前のタイヤが両端から減っていく傾向があるので、この場合は正常です。

タイヤの摩耗状態には、両側摩耗の他にも、内側の摩耗、外側の摩耗、中央部の摩耗、のこぎり歯のような摩耗など、様々な摩耗が現れます。

タイヤの減り方で、フロントとリアの摩耗状態が不均等であることは、正常な減り方であると言えます。
通常、駆動輪が早く減っていきます。これを防ぎたいなら定期的なタイヤのローテーションを行うことである程度回避することが可能です。



タイヤの点検の際に、タイヤのサイドウォール(横から見える横壁の部分)のえぐれやキズがないかをチェックします。サイドウォールのえぐれやキズは危険です。高速走行中にバーストする恐れがあります。

また、溝は残っているけれど、古くてひび割れが始まっているタイヤの場合は、直ちにというわけではありませんが、そろそろ交換時期が来ていると考えた方がよいでしょう。

タイヤの溝の深さのチェックでは、サイドウォールの上部にタイヤメーカーのロゴか、△マークの部分に1.6mm溝が盛り上がっている箇所があります。
その高さとタイヤのトレッド面(要は表面)が迫ってきたらもう限界というサイン。
これがいわゆるスリップサインです。
スリップサインが出たら直ちに交換します。スリップサインが出ると、タイヤの表面に横に繋がったラインが現れるので見ればわかります。

ただ、スリップサインまで到達していなくても、一番減っているところが2~3mmまで来たら早めに交換した方がいいでしょう。
タイヤの溝の深さを測る専用のレベルゲージが安価でホームセンターなどで入手可能ですので、ひとつ持っていてもよいかもしれません。
ノギスがあればそれで代用も可能です。

タイヤの空気圧の点検


空気圧は、基本的に高すぎると中心部分が摩耗し、低すぎると両端に摩耗が現れます。
空気圧は乗り心地にも影響し、高すぎるとガツンという突き上げが強くなったります。
まt、空気圧が低いと、燃費を悪化させる原因のひとつにもなります。

タイヤの空気圧の点検には、専用のエアゲージが必要になります。
DIY派ならひとつ持っておくとよいでしょう。

タイヤの空気圧の測り方は簡単です。
タイヤのバルブキャップを外して、エアゲージをあてがったら、空気が漏れないようにグッと押し付けます。この時のゲージの値が現在の空気圧です。

適正の空気圧は、運転席のドアを開けて見えるチェッカーのあたりに貼ってあるラベルの値となります。
国産車であれば、どこのメーカーであっても大体この位置でみつけることができます。

空気圧が足りない時は、エアポンプで空気を入れますが、安価な自転車用のポンプでも可能です。
ホームセンターやカーショップには、自動車用のエアポンプが必ず置いてありますので、これも持っているとイザという時便利です。

自動車の空気圧の最適値ですが、燃費の向上という観点から見ると、メーカーが推奨している値よりも高めにセットした方が燃費がよくなる傾向にあるようです。
空気圧が高い方が、惰性が効いて転がり抵抗も減るので、当然このような結果になるわけです。
タイヤの健康状態にもよりますが、国産メーカーのタイヤなら2~3㎏/㎠くらい高めにセットしてもいいかもしれません。

正常な状態であれば、4本同じように空気圧は自然に低下していきますが、タイヤの点検時、1本のタイヤだけに空気圧の低下がみられる場合、

サイドウォールの損傷
ホイールの損傷
タイヤのバルブからの空気漏れ
釘などが刺さっていないか


などのチェックが必要になります。

タイヤ交換の方法

◆タイヤ交換に必要な工具
油圧式または車載のパンタグラフジャッキ
輪止め(2つ)
リジッドラック(通称:ウマ)なくてもタイヤ交換は可能
トルクレンチ パンクなどの緊急時にはなくても可能
(レンチ類は車載工具に必ずありますが、中古車を買った時などはあるかどうか事前にチェックし、万一なければ購入して必ず車載する)

◆タイヤ交換の方法・手順の流れは以下のとおりです。

<ジャッキアップ~タイヤの取り外しまでの流れ>
平坦で安全な場所で行う。

パーキングブレーキを確実に引いておく。

外すタイヤの対角線上のタイヤに輪止めをする。(タイヤの前後に2つ)

ホイールレンチでホイールナットを緩める。1/2から1回転緩めるだけでOK。
 緩め過ぎは危険です。手で回ってしまうくらい緩んでいたら締め直してください。

ジャッキをジャッキアップポイントにセット。

パンクなどの時はリジッドラックがないので、スペアタイヤを車体の下に置いておく。
 (万一ジャッキが落ちた時の安全対策)

いよいよジャッキアップします。
傾きなど車体の動きに注意しながら、ジャッキアップポイントからずれていないかなど見ながら上げていきます

持ち上げ過ぎに注意。3㎝くらいで十分です。それ以上だと不安定になり危険です。

ホイールナットを緩めて外します。最後の1本になったら片手を添えてもう片方の手で最後のナットを外します。手を添えていないとガタンとタイヤが傾いて危険です。

ナットを全て外したら両手でしっかりタイヤをホールドしながら真っ直ぐ手前に引き抜きます。
いずれにしろタイヤは重いので慎重に。

<新しいタイヤの取付け方>
まず付け替えるタイヤの取付け穴に、ハブボルトを1個はめて、これを軸にしてタイヤを回転させながら他のハブボルトもはめていくと比較的楽です。

ホイールナットをがたつかない程度に仮止めします。

次にジャッキを降ろします。完全に降ろしてしまうのではなく、タイヤが接地して荷重がかかった状態になったら降ろすのをやめて、ホイールナットの本締めをします。

本締めといっても足でガンガン踏んで締めるのは厳禁です。
軽く体重をかけてグッと一息締めれば大丈夫です。

ジャッキを完全に下げたら、もう一度ホイールネットの締まり具合を確認して完了です。

ホイールナットの締め方

ホイールナットを締める順番は、2,3回に分けて対角線の順に締めていきます。
全てのホイールナットを均等に締め付けるためです。

※ホイールナットの適正トルク
一般には「98Nm」前後です。(10㎏-m)
ホイールナットはトルクレンチで確認するのがベストです。

FF車の前輪がパンクした場合は


FF車の前輪がパンクした場合、補助タイヤ(テンパータイヤ)を前輪にそのまま付けてしまうのは避けてください。
FF車の前輪は舵取り、駆動両方を担っているので、テンパータイヤでは到底役不足です。

面倒でも、リアのタイヤを前に持ってきて、補助タイヤは後ろへつけるようにします。

また、テンパータイヤで長距離走行はしないようにします。
テンパータイヤは応急用で耐久性の点で問題があります。