自動車メンテナンス・整備の基本

初心者のクルマいじり 工具の使い方DIY入門

自動車のバッテリー交換と点検の方法


自動車は、電装部品のかたまりみたいなもので、バッテリーがその重要な役目を担っています。

バッテリーは常にベストコンディションでなければならないので、点検と交換がとても重要です。

ちなみに、「メンテナンスフリー」のバッテリーというのが近年増えていますが、これはバッテリー液が減りにくくなっているだけで、メンテ不要ではありません。やはり定期的な点検が必須となります。

そもそも、バッテリーとは、電解液と鉛の化学反応を利用して電気を充電したり、放電することができる電気の貯蔵庫です。
バッテリーは、停止したエンジンをスタートさせたり、オーディオやナビゲーションシステム、テレビなどのAV機器、ライト類、ホーンや、エアコンなどを安定的に動かすため、なくてはならないパーツです。



バッテリーの点検はなぜ必要なのか?

バッテリーに蓄えることができる電気は無限ではなく、当然、限界があります。
走行中は常に、エンジンの回転力を利用して発電が行われ、バッテリーに充電されていますが、満充電状態に達すると、電気エネルギーはバッテリー液の水分を電気分解し始めます。

これにより、正常なバッテリーであっても、バッテリー液はどうしても減少していくことになります。
定期的なバッテリーの点検をしないと、バッテリー内の極板の露出が起こり、バッテリーの寿命を縮めてしまう結果になります。

車のバッテリーの点検


バッテリー本体の汚れは、まめにふき取ってきれいにしておく。
特に、端子に白い粉(硫酸物質)が付着していると腐食して電気の流れを妨げてしまう。
放っておくと金属を激しく腐食させるので、ボディまでダメになることも。
汚れが落ちにくいなら、ワイヤーブラシとサンドペーパーで丁寧に磨くか、バッテリーを取り外し、水とブラシでゴシゴシ丸洗いしてもOK。

バッテリーターミナルを掴んで、揺らしてみて緩みがないかをチェック。
ただし、締めすぎは変形の原因になるため、注意。
グラグラしない程度に締まっていれば問題ありません。

バッテリー液の量をチェックする。ケース側面の液面ラインを目安にする。
補水は出来ればバッテリー本体を取り外し、水平な場所に置いて行う。
常にアッパーレベルまで入っていることを確認する。

側面から液量が見にくい場合は注入口から直接のぞいて確認する。
バッテリーの補充には精製水を使う。(市販のバッテリー補充液でも可)
水道水は絶対に不可。

バッテリー液の適正量は極板の1cm上。それ以下なら補充する。

バッテリー端子はグラつかない程度に締めるだけで十分です。
締めすぎは変形の原因になります。

ターミナルの接触面に接点復活剤(KUREの「コンタクトスプレー」など)を塗布しておく。

車のバッテリーのサイズの見方


バッテリーサイズの形式表示には意味があります。
表示の数字やアルファベットが1文字違うだけで取付不可能な場合もありますので、サイズ表示を必ず確認します。

簡単にバッテリーサイズの見方を説明します。

例)「55D23R」という表示のバッテリーの場合。

最初の「55」という表示は、バッテリーの性能ランクを表す数字です。
この数字が大きくなるほど、始動性能や容量が高性能であることを意味します。
(50未満:2刻み、50以上:5刻みで表示)

次の「D」は、バッテリーの短側面のサイズ(幅×高さ)を表しています。
A~Hまでで表示され、アルファベットが後ろにいくほどサイズが大きくなることを意味します。
(幅×高さ、単位はmm)

A:127×162
B:129×203
C:135×207
D:173×204
E:176×213
F:182×213
G:222×213
H:278×220

次の「23」は、バッテリーの長側面の長さをそのままcmで表しています。
この場合は23cm。

最後の「R」はバッテリーの端子の位置を表しています。

バッテリーをプラス側の短側面から見て、+端子が左側に来るときをL、右側なら「R」で表示します。

バッテリーの交換時、どうせなら純正より高性能のものに交換するのも手ですが、この場合は「D」の部分と、「23」の部分が同じものを選びます。
長側面が少し大きい場合でも、車側のスペースに余裕があるようなら難なく搭載可能な場合もあります。
ただし、「B」と「D」は互換性がないのでつきません。

逆に、安いからといって性能の低いものへの交換は避けた方がよいでしょう。

バッテリーの交換(バッテリーの取り外し方と取り付け方)


バッテリーの取り外し方にはお約束があります。

端子を外す時は「-」が先。
取り付ける時は「+」が先。

自動車は電気系統がボディアースされているので、金属の部分が全て-端子のようなものです。
このため、+端子にかかった工具などがボディにちょっと触れただけでたちまちショートしてしまいます。
バッテリー交換の際に、-端子を先に外してしまえば、これを防ぐことができます。

◆バッテリーの取り外し方

1.マイナス端子を外す。
2.プラス端子を外す。
3.固定用のステーを外す。
4.ある程度緩めるとフック部分が外れるのでバッテリーを外す。

バッテリーの取付け方はこの逆でOK。
ただし、端子はプラスから先に取り付けることを忘れずに。

バッテリー固定用のステーの締めすぎに注意してください。
ステーの締めすぎは、バッテリー本体の変形に繋がります。
手で触ってみてグラつきがなければOKです。

バッテリーの寿命 


自動車のバッテリーの寿命は2~3年。
一度でもバッテリー上がりを起こしたら、特に注意が必要です。

再充電してみて、同じようにバッテリー上がりを起こすようなら間違いなく寿命が来ていると判断してよいでしょう。

バッテリーの充電状態を測るための比重計というものがありますが、バッテリー液の温度変化などによる誤差も大きいため、正しく判断するためにはある程度の経験が必要です。
DIYビギナーでは使いこなすことが困難かもしれません。

購入するならデジタルテスターの方が使用方法も手軽で、他にも色々使いみちがあるのでよいでしょう。

また、ホームセンターやカーショップなどで2000円~3000円くらいの充電器をよく目にしますが、バッテリー充電には結構使えます。余裕があればひとつ持っていても損はありません。
ただし、長時間繋ぎっぱなしにするなど、誤った使い方を避けるために取説は熟読するようにします。



バッテリーが上がった時の「ブースターケーブル」の使い方とは

バッテリー用のブースターケーブルは一般には赤と黒のコードから成り、
赤がプラス
黒がマイナス
に接続するのが基本です。

1000円台の安価なケーブルもありますが、ケーブルは容量が重要です。
ケーブルの容量とは、要は芯線の太さ。

これが細いと大きな電流に耐えられず、かえって危険。

多少値がはってもよいものを選ぶようにします。

おススメは、ディーゼル車用のケーブル。
ディーゼル車はガソリン車よりも始動時の電圧が高いため、ケーブルも大容量に設定されています。

≪ブースターケーブルの接続の仕方≫

1.上がった車両のプラス端子に赤色のケーブルを最初に接続します。

2.赤色のブースターケーブルのもう片方を救援車のプラス端子に接続します。

3.救援車のマイナス端子に「黒色」のケーブルを接続します。

4.もう片方の「黒色」のケーブルは上がった車両のエンジン本体に接続します。
  マイナス端子ではありません。
  また、この時、出来るだけバッテリー本体から離れたエンジンの吊上げフックなどの金属部分に接続する  ようにします。
5.救援車から先にエンジンを始動します。

6.回転が安定したら、出来るだけ早く走行を始めます。

7.1~2時間の走行が必要です。